なぜ「犬の正しい叱り方」を知りたいの?

犬の正しい叱り方を教えて欲しいと尋ねられることがあります。

具体的には、
「どんな言葉で叱ったらいいのか」
「叱る時に名前を呼んでいいのか」
「どこを叩いたらいいのか」
「どんな物で叩くのがいいのか」など

こう尋ねられても私は答えを持ち合わせていません。
なぜかというと私は犬を叱ったり叩いたりしないからです。

叱らないとしつけができないと信じている人たちからは
ブーイングがきそうですが、
レッスンでもうちでも必要がないので犬を叱ることはありません。

叱らないんだったらどうするの?ということになるかと思いますが、
そもそもの叱る目的は何なのかをまずは考えてみましょう。

「悪い事だと分からせたい」「正しい行動に促したい」
というような理由はあると思うのですが、
共通する目的は「今やっている事をやめさせる」ことと
「今後それをさせない」ということではないでしょうか。

実は、叱ることで悪いことだと分からせることや
正しい行動に促すことはできないのです。
このことについてはどこかでお話できたらと思います。

叱ることがあまりにも当然で疑わずにやってはいるけれど、
多くの人がうまくいかないことを実感するのではないでしょうか。
それでもやっぱり叱ること自体には疑いを向けず、間違っているのは
「叱り方」なのではないかという考えに至るのではないでしょうか。

そもそもの「やめさせること」と「今後それをさせない」という
目的が果たせるのであれば、特に叱ることにこだわる必要はないはずです。

ではどうするかということですが、
ここからはGooDogで行なっている方法をお話します。
犬がやって欲しくないことをしている時の対応策ついて
気になるとは思うのですが、その前にやることがあります。
まずはその問題が起きにくい環境づくりをします。

例えば、お家で触って欲しくないものがあるのなら
片付けるなど犬がそれにアプローチできないようにします。
散歩ですれ違う犬に対して吠えるのなら
犬に出会いにくい場所や時間帯を選ぶようにします。
パワーが有り余っていることで起こる問題があるのならば
知育トイを使ってみたりゲームや運動などでできるだけ満足してもらいます。
家・散歩場所・生活パターン・体調・食事などを含めた環境づくりで
問題を起こしにくくします。

環境を整えたらその次にやるのが、対応策です。
要はトレーニングです。
環境づくりはトレーニングを成功に導くための基礎のようなものです。
トレーニングをスムーズに行うためには環境づくりは欠かせません。

ただ、この考え方は人によっては受け入れにくいようです。
結果がいいのになぜなのだろうかと考えたところこんな答えに至りました。
環境づくりをすることで問題が起きづらくなる。
ということは、犬が間違った事をすることが減る。
ということは、指摘をするチャンスが減る。
ということは、根本的な問題解決にはならないのではないか。
こう考えるのではないかなあと。

環境づくりをする事で問題の方向へ犬が行動する
頻度が低くなるのは間違いありません。
ただ、問題が起こった時に反応するのではなく
こちらが望む好ましい状態を強化することが目的です。
そうする事で問題から離れていくことができます。
指摘を続けているうちは問題解決には至りません。
問題に目を向けるのではなく、
どうして欲しいのかを明確にし、そこに注目するようにします。

この方法でトレーニングをしていたとしても
避けていた問題が目の前に現れる事があります。
その場合は、冷静にでも即座に環境を変えます。
その場所から逃げると言ったほうがイメージしやすいかもしれません。
そして、同じような事が起きないように再度環境を見直します。

こういう事を繰り返していくと
いつの間にか問題が起きにくくなっていることに気づく日がきます。
犬に頑張らせることはありません。
人間は頑張りますけどね。

ここまでは、叱らないでどうやめさせるのかというお話しでしたが、
ここからはこの方法を難しくしてしまう要因にひとつ思い当たるので
それについてお話したいと思います。

それは、多くの飼い主さんが何かとすぐに叱るスイッチを
ONにしてしまうということです。
叱りにまで至らなくても何かしら反応してしまうこともあるかと思います。

好ましいところに反応するのはいいけれど、
やめてもらいたいことに反応しても頑張り損ですからね。
それどころかやめてもらいたいのに逆に強化してしまうかもしれません。
ここは軽視している人が多いトレーニングの成功を邪魔する
見えにくい落とし穴なのです。

私はチョークチェーンを使ってトレーニングする方法から
この世界に入ったので、犬の首を一瞬締めるジャークを使っていました。
このジャークも嫌で今のトレーニング方法に移行してきたのですが、
長年の習慣は恐ろしいもので、使いたくないのに
考えなくても体が反射的に動いてしまう状態でした。
これをどうしても無くしたかったので
パターン化した動きの代わりに意識的に息を吐き
ゆっくり動くようにしました。
これを手放すのはかなり苦労しましたが
今となっては綺麗さっぱりそのくせはなくなりました。
常に意識することで根深い癖も手放すことは可能です。

やめてもらいたいことが起きた時に反射的に反応してしまう人は、
意識的して息を吐くだけでもやってみてください。
そうすると冷静に環境を変えることをしやすくなるはずです。

犬の好ましいところを探すトレーニングは、
飼い主側の精神衛生にもいいですよ。

今回は、叱ることについて考え、
さらに、叱らないトレーニングを紹介し、
また、叱りスイッチを手放す方法をお話しさせていただきました。

長文、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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